短期間の筋力トレーニングで筋肉量・体脂肪量はどう変化するか?
こんにちは!株式会社肉体改造研究所 代表の竹田大介です。
本日は、短期間の筋力トレーニングが体組成(筋肉量・脂肪量)に及ぼす影響について、過去に学術論文をレビューした記事をご紹介したいと思います。
ダイエットに励む方のお役に立てて頂ければと思います!
今回は、「看護女子学生における8週間の継続的運動が体組成,体力,および精神的健康度に及ぼす影響」という学術論文を基に、短期間の筋力トレーニングが体組成および精神的健康度に及ぼす影響について検討してみたいと思います。
この研究では、1週間に4Ex以上の運動を行っていない女子学生を対象として、実験開始前にトレーニングについての講習会を実施し、実験中のトレーニングは被験者自らがどのトレーニングをどのくらい行うかを決める自主トレ的な形で進められています。
被験者
1週間に4Ex以上の運動を行っていない女子学生 102名
(平均年齢18.2±0.1歳 18~20歳)
結果
身体活動量
介入前:0.9±0.2EX/週
介入中:6.6±0.7EX/週
(P<0.0001)体重
変化なし
体脂肪率
介入前:26.8±0.5%
介入後:24.9±0.5%
(P<0.01)全身筋肉率
介入前:69.1±0.5%
介入後:70.8±0.4%
(P<0.01)体力テスト
長座体前屈 107±1% P<0.0001
上体起こし 107±1% P<0.0001
握力 107±1% P<0.0001
反復横跳び 103±1% P<0.0001
立ち幅跳び 101±1% P<0.04精神的健康度(アンケート調査)
P<0.05
まとめ
8週間の筋力トレーニングにより体脂肪率は減少し全身筋肉率が増加していますが、体重に変化はありません。体力テストの結果が向上し、アンケート調査により精神的健康度も向上しています。
私の主観的感想
この研究ではコントロール群(トレーニングを行わない群)との比較ができていないため、上記結果が今回のトレーニング介入による結果であると言い切ることはできませんが、被験者は普段「1週間に4Ex以上の運動を行っていない女子学生」なので、実験でのトレーニング介入以外に身体活動量が増える要因がなかったものと仮定して感想を述べてみましょう。
今回、トレーニング介入により体脂肪率が減少して全身筋肉率が増加しているのに体重に変化はありませんでした。
これは、体脂肪量が減少したのと同程度筋肉量が増えたと考えられます。
筋肉量が増えたことで、体力テストの結果が向上したのでしょう。
この研究ではトレーニング介入以外に食事制限等は行なわれていませんので、8週間の筋力トレーニングで体脂肪を減らし筋肉量を増やすことはできても、大幅に体重を減らす効果は見られないということが分かります。
これがもっと長期間の実験であればまた違った結果がみられた可能性はありますが、「体脂肪」だけでなく「体重」を「短期間」に減らすためには筋力トレーニングだけでは不十分で、食事制限と合わせて行っていく必要があると思います。
しかし、短期間に大幅な体重減を成功させるためにはカロリー収支をマイナスにする必要がありますので、そうすると筋肉量を増やすことは難しくなってしまいます。
一般の方のダイエットであれば、例えば「8週間後の結婚式に向けて何が何でも体重を落としたい!」という場合は食事制限を取り入れる必要がありますが、「引き締まったカラダをつくり、長期間維持したい!」のであれば、極端な食事制限は行なわず、カロリーオーバーにならない範囲で栄養バランスのとれた食事をしながら筋力トレーニングで筋肉量を増やし少しづつ体脂肪を減らしていく方法がよいでしょう!
また、今回の研究では「精神的健康度」というものも見ています。今回の研究では介入前後での統計学的有意差が5%未満で有意に精神的健康度が向上しています。これは、トレーニングがストレスにはなっておらず、楽しんで実施できていたということではないでしょうか。やはり、トレーニングを長く続けていくには、楽しみながら行うことが大事ですね!(^^)!
参考文献
山崎文夫,山田寿男,森川幸子(2013):看護女子学生における8週間の継続的運動が体組成,体力,および精神的健康度に及ぼす影響.J UOEH 35(1):51-58.
執筆者:竹田大介
熊本県合志市出身。
ゴールドジム公認パーソナルトレーナーとして、ゴールドジム東陽町スーパーセンター・イースト東京(江東区南砂)・渋谷東京の3店舗で活動中。
大学院でのトレーニング科学における学術研究で得られた科学的知見を活かし、お客様の個性や目的に合わせて目標達成を効率的に導くオーダーメイドなエクササイズプログラムを立案し、楽しくトレーニングできるようサポートさせて頂いております。
株式会社肉体改造研究所 代表取締役
日本大学大学院文学研究科教育学専攻体育学コース 博士前期課程 修了
NSCAジャパン 最優秀論文賞2018 森永最優秀事例報告賞 受賞
NSCAジャパン 最優秀指導者賞 パーソナルトレーナー・オブ・ザ・イヤー2021 受賞